2025年3月末で、勤めていた政府系国際機関を退職し、独立起業することにしました。
安定していた政府系機関という立場を捨て、荒れ地に飛び込むことはほとんどの人の反対を受けました。
このたび、2025年3月末をもって、約2年間勤めた公的機関を退職し、独立することにいたしました。
在職中は、安全管理に関わる業務を中心に、中南米地域を担当する中で多くの学びと経験を積むことができました。また、安全教育の新しい形として、ボードゲームというツールを使ったプロジェクトにもチャレンジし、多くの方々のご協力のもと、100名以上にプレイしていただく貴重な機会も得ました。
こうした経験を経て、私は改めて「日本とラテンアメリカの架け橋になりたい」という気持ちを強くしています。
なぜ今、メキシコなのか?
今回、独立の拠点として私が選んだのは、ラテンアメリカの中でも特に経済・社会の変化が著しいメキシコです。
この選択には、個人的な原体験が大きく影響しています。
私の祖父はかつて、アルゼンチンやスペインに駐在していた経験があり、幼い頃から家族の会話の中で、ラテンアメリカのダイナミズムや人々の温かさ、多様な文化の魅力を繰り返し聞いて育ちました。その語り口はいつも情熱にあふれており、子ども心に「いつか自分もその地に立ってみたい」という憧れが自然と芽生えていきました。
そうした思いはやがて、大学時代のメキシコへの交換留学という形で現実となり、現地での生活や出会いを通じて、自分の中にあったラテンアメリカへの想いは確信へと変わっていきました。
その後、在外公館でメキシコに関わる仕事に就いたことを経て、公的機関では中南米地域を担当。特にメキシコでは、日系企業の進出に関わる支援の現場で、「安全面の不安」や「現地との信頼構築の難しさ」といった、リアルな課題を数多く目の当たりにしてきました。
このような背景から、私は今、強く思っています。
「ラテンアメリカの可能性を信じている日本人として、もっと深くこの地に入り、現場に貢献したい。」
「日墨の間に立って、互いを理解し合う“橋”になりたい。」
今後は、中小企業診断士としての知見や現地経験を活かしながら、メキシコでの事業展開を志す日系企業の皆さんをサポートし、現地のニーズとも調和する形で、価値あるつながりを築いていきたいと考えています。
安全管理を“楽しく学べる”ボードゲームプロジェクト
在職中に手がけた印象的なプロジェクトのひとつが、「安全管理をゲームで学ぶ」という挑戦でした。
この企画は、「RPGゲームのように戦略を立てる力と、安全管理の判断力って似ているよね」という雑談からスタートしました。
そこから発展し、大学・市役所・民間企業など様々な現場の協力を得ながら、安全管理の考え方(SRM=Security Risk Management)をボードゲーム化。完成したゲームは、100名以上の方々にプレイしていただくことができました。
ゲームを通じて、「安全とは何か」「脅威にどう備えるか」「情報をどう分析するか」といった本質的な問いを、楽しみながら学べる仕組みを実現できたのではないかと感じています。
このプロジェクトを通じて、私は「難しいことをわかりやすく、そして面白く伝える」ことの価値を再認識しました。今後も、現地の安全教育や異文化理解にも応用していきたいと考えています。
独立・起業という選択
もちろん、安定した職を離れ、起業を選ぶことには不安もあります。特に、現時点では事業の内容もまだ模索中で、見込み客がいるわけでもありません。
けれど、自分自身の原点を見つめ直したとき、幼少期から育まれてきた「多様な文化に惹かれる気質」や、「新しい環境でゼロから何かを築き上げることへの情熱」は消えることなく、むしろ年を重ねるほどに強くなっていることに気づきました。
現在は、中小企業診断士としての専門性も活かしながら、メキシコを拠点に、日系企業の現地進出支援、文化・ビジネスの橋渡し、あるいは地域課題の解決を支援するような活動を目指しています。
さいごに
組織に所属していた2年間、多くの方々に支えていただき、自由度の高い環境でチャレンジする機会に恵まれました。本当に感謝しかありません。
これからは、ラテンアメリカという土地で、より泥臭く、リアルに、実践的な価値を提供できるよう、努力を続けていきます。
不確実な旅ではありますが、少しずつ前に進んでいきますので、引き続きどうぞよろしくお願いいたします。
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